19世紀末、オランダのブラバント州オッスに「ユルゲンス」と「ヴァンデンベルグ」という会社がありました。どちらも家族経営でバターをつくり、イギリスへ輸出していました。1870年初頭、2つの会社に転機が訪れます。牛乳の脂肪分から新製品・マーガリンの製造にのりだしたのです。マーガリンは、バターより安価で大量生産が可能な、当時としては画期的な製品でした。
一方、イギリス北部では、ウィリアム・ヘスケス・リーバ卿の食料雑貨卸店「リーバ&カンパニー」が新しい家庭用石けんのビジネスを開始します。その石けんには、動物性脂肪を原料とした従来の石けんより泡立ちを良くするため、ヤシ油や松の実油が使われていました。リーバ卿はこの石けんを「サンライト」と命名。その石けんの箱には、「この石けんを使う人の誰もが清潔な暮らしを送れるように。毎日の家事がもっと楽になるように。健やかで美しく、充実した暮らしを楽しめるように」というリーバ卿の願いが記されていました。「サンライト」は、清潔や衛生への意識がまだ低かったビクトリア時代のイギリスに「からだをきれいにする」「家をきれいにする」という新しい習慣を生み、根づかせていきました。そして、人々に「きれいになる」「きれいな家に住む」という新しいよろこびを届けていきました。一箱の小さな石けんが人々の暮らしを変えるきっかけになったのです。

