>宮田 裕子
人事総務本部長
人事もマーケティングと仕事のプロセスは同じ
わたしは1989年に入社して、マーケティング部門に配属になりました。2度の海外赴任を含め、9年間あまりマーケティングを経験しました。その後、人事への異動希望を出し、2000年に人事に移り、2005年夏から現在のポジションです。
自分が来る前の人事というのは、完璧なバックオフィスでした。自分としては、本来、人事というのは、会社の戦略を達成するにあたって、もっと積極的な役割を担うべきだ!と思っていましたし、「何でこんな人が会社の上にいるの?」と感じるような処遇もありました。こんなことを続けていると、この会社は早晩つまづくのでは……と疑問を感じ、自分でこれを変えられるかどうかチャレンジしたい、と異動を願い出たわけです。
それまでやっていたマーケティングの仕事というのは、消費者の意見を聞き、その人たちが何を望んでいるかを考えて商品を出すという役割です。人事も、社員が何を望んでいるかを聞き、いろいろなプログラムなどに落とし込み、実現するという意味では、対象者とアウトプットのカタチは異なるけど、同じようなプロセスで仕事ができる、マーケティングから行くと面白いかな、と思いました。
グローバルなユニリーバで1つの会社への変革
ユニリーバ・ジャパンは、2005年初頭に発表された「One Unilever」という大きなスローガンの下に、全世界で大きな組織変更を進めてきました。これまで、それぞれの国で独立し完結していた組織を、それぞれの国ではすべてのファンクションを持たず、グローバルなユニリーバで大きな1つの会社、という仕組みに変えたのです。この組織の枠組みを最大限に活かしながら、日本のビジネスをいかに継続的な成長軌道に乗せるかが、今、ユニリーバ・ジャパンに与えられているミッションです。
日本法人だけをみれば数倍の規模の競合他社に勝つために、グローバルなユニリーバのリソースをフルに活用できるように、3年をかけてビジネスモデルを大きく変えました。従来と比べると、アジアリージョンのオフィスやグローバルの組織との結びつきがはるかに強くなっているのが特徴です。上司の上司が海外拠点に在籍する外国人、というのもごく当たり前になっていて、日本の組織や日本人だけでは煮詰まってしまうようなことも、リージョンやグローバル、他の国の持つチカラをうまく利用して突破していこう、という機運が高まっています。
いずれグローバル化の波が押し寄せるなら今のうちに飛び込むべき
日本はすでに経済的に発展してしまっている状態ですし、高齢化も進んできていますし、人口も減り始めています。30年後ぐらいを考えると、今までのように日本の中だけで完結して生きていくことは絶対にできなくなるはずなんですよ。
それを考えると、現在日本のマーケットの中で競合している日本有数の企業であっても、どうにかしてアジアや他の国のマーケットに出て行く必然性が生じてきますが、人事制度も整っていなければ、ノウハウもない。グローバル化を進めるにもどうやってマネージしていけばよいか、試行錯誤をしている段階です。そういう意味では、ユニリーバ・ジャパンは少なくとも10年は先に行っています。つまり、日本の会社に入ったとしても、今後どうやって海外に事業展開をしていくかが課題となるはずなので、どうせグローバル化の波が押し寄せるときがくるのなら、早いうちにユニリーバ・ジャパンでダイナミックな環境に身を置いてみるほうがいいのではないでしょうか。
ユニリーバにいると、中国では、インドでは、アフリカでは今…と、日々世界で起きていることがどんどん入ってきます。正直本当に大変だけれど、反面エキサイティングで面白い。この環境の中で、若いうちからどんどんストレッチングな仕事を与えられて揉まれていれば、10年もすると日本の会社に勤めていた人とは歴然とした差が付くでしょう。会社の中核を担う年齢になったときに、それだけの経験、スキルの差があるということは、その後の人生において大きなアドバンテージになると思いますよ。
ユニリーバ・ジャパンが求めているのは?
どんな人材が欲しいのかと言うなら、とにかくグローバルな企業で通用するスキル、能力、マインドセットを持っている人です。
1番目には論理的、戦略的に物事を考え、コミュニケーションできること。もちろん日本語でも英語でもです。英語は多少つたなくても、論理的に考え話すことができれば、すぐ英語も上達します。
2つ目は、外国人と直接働くことが格段に多いので、自分とは違う価値観、スタイルを許容しながら一緒に仕事ができること。この状況ならこの人はこう考えるだろう、ならばこう言えば通るかもしれない、といったことを自分で考え、工夫し、対応していけるチカラが必要です。
3つ目には、スケジュール通りに物事が進まなくても、めげずにタフに生き抜ける人。
4つ目として、多少拙くても「何でもやります!」という積極的な人。多少ぎゅっとストレッチしても、何とかします!っていう勢いが必要です。ユニリーバ・ジャパンは、もっともっと少数精鋭なイメージを追求していきたいんですよ。そうしないと、組織力と人海戦術でやってくるライバル企業には勝てないですから。
5つ目は、自己認識がしっかりできる人。他者からの評価と、自己評価にあまり乖離がない人は、多少つまづいても必ず立て直すことができますが、そのギャップが埋められない人というのは、いつまで経っても同じ場所でつまづく。そして自分は悪くない、というストーリーに入ってしまう。そういう人は合わないですね。
最後に6つ目として、ユニリーバ・ジャパンはアジア・中東・アフリカ・東欧・ロシア地区に属していますので、今どんどん伸びているアジアやアフリカの発展途上国で自分の力を試してみたいという意欲がある人を特に歓迎しています。ユニリーバは、発展途上国での活動においては有数の会社ですから、そのリソースを活かして、発展途上国の生活者の目線に興味を持ち、発展途上国の人々の生活がよくなること、国が発展することに貢献したいと思っている人には、有意義なチャレンジをすることができるはずです。
転職は考えたこともありません
一般的に外資系企業というと、数年単位でいくつもの会社を渡り歩いて転職していくイメージがあるでしょうが、ユニリーバ・ジャパンの場合は、一般の日本企業とあまり変わりません。私自身についてもよく質問されるのですが、今までこの会社にいて「もの足りない」と思ったことがないんですよ。もう今の仕事はやり尽くしたかな…なんて思う前に、また新たな仕事が降ってくるような状況で、転職を考える余裕もなかった、というのが正直なところですね。
また、ユニリーバに根付いている企業カルチャーとして、「社会に貢献しなければいけない」「正直で誠実であることを大切にする」といったことが、かけ声だけでなくキチンと受け継がれているので、会社に対して不信感を抱くようなことがない、というのも大きいかもしれません。
結婚して子どもがいてもちゃんと仕事をさせてくれる
既婚で子育てをしながら働いている一人として言わせてもらうと、ユニリーバ・ジャパンに結婚・出産した後に女性社員たちが戻ってくる一番の理由は、きちんと責任ある仕事を任せてくれることと、すでに子育てをしながら働いている人たちが周囲にたくさんいるので、苦しいときでも、同じような境遇の社員と話ができて元気になれることでしょう。「何でこんな思いをしてまで働いているんだろう?」と落ち込むほど辛いときに、本当に支えとなるのは、そういった人のつながり、ネットワークだと思います。実際に自分の身になってみるとわかりますが、制度じゃないんですね。
もちろん、フレックスタイムや育児休暇制度、時間短縮制度など、サポートするプログラムも充実していますし、子供が生まれても、いずれ復職してくるのが当たり前の選択肢となっているので、戻ってきやすい風土もあります。ただ、時間の調整などは内勤の場合自分の裁量で行えるようになっていますが、決して仕事の内容が楽なわけではありませんので、そこは誤解してほしくないですね。
ありのままで面接に
学生の皆さんへアドバイスするとしたら、ありのままの自分で臨んでほしいと言うことです。本エントリーシートへの記載にしても、面接にしても、ありのままの自分で臨んでもらって、それでダメだった場合は仕方がない。縁がなかったわけですから。お見合いや恋愛と同じで、縁があった、なかったというレベルで納得していただくしかありません。
縁あって合格した場合は、入社までに死ぬ気で英語を使えるようにしてください。英語が使いこなせないと、外国人の上司とコミュニケーションがとれなかったり、辛い思いをするのは皆さん本人ですから。
宮田 裕子 キャリアパス
1989年 入社。マーケティングで「サーフ」(洗濯洗剤)などの新製品開発を担当
1991~93年 アメリカ赴任、食器洗い用洗剤のマーケティングを担当。市場分析、売上げ予測など、ビジネスの基礎を学ぶ
1995~97年 アメリカ赴任。ブランドマネジャーとして身体洗浄料ブランドCaressを担当
1997年 帰国、マーケティングマネジャー(身体洗浄料)に着任。その後、グローバル ユニリーバのミッションを作成するプロジェクトのメンバーとして、英国と日本の往復生活に
1998年 異動、ヘアケアマーケティングマネジャー。モッズ・ヘア新発売の責任者に
2000年 人事へ異動、人材開発マネジャー
2005年 取締役 人事総務本部長に就任